【勇新】 きっと、この関係は変わらない

アラタさんと俺の関係に付けられる名前が不毛なものだって、知っている。

けど、その関係が少しでも変わる事があるのなら、俺はあの時アラタさんの手を取れなかった事を許せるのだろうか。
アラタさんが遠くに想いを馳せている時、その瞳はあまりにも綺麗で、空虚で恐ろしい。
まるで硝子細工の様な美しさと脆さがある。

きっとその儚い視線を、俺に向けてくれることはない。
アラタさんが求めているのは俺じゃないんだってまざまざと思い知らされる。
けれど、俺はアラタさんとの関係を変えたいんだ。
その寂しい瞳を、もう二度とさせたくないって。

そう思うのに、俺の部屋を訪ねてくるアラタさんは、いつも暗い色を携えている。

俺としている時だって、アラタさんのそのアーモンド色の瞳に翳が差しているんだ。

そんなアタラさんのうつくしく閉じた瞼に、キスを落とす。

大丈夫だよ。怖いものなんてなにもないんだよって。

けれどそんな俺の姿を、アラタさんは、いつも唇に歪みを浮かべ真っ直ぐに受け取ることはしない。

あの日踏み込む事ができなかったけれど、アラタさんのことを救いたい気持ちは、誰よりもあるんだ

そういうと、アラタさんは笑うけど。